東南アジア海研究財団

東南アジア海における平和と公平のため

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フィリピン、マレーシア、ブルネイ、インドネシアの各国政府と国民への書簡

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フィリピン、マレーシア、ブルネイ、インドネシアの各国政府と国民への書簡(1)

東南アジア海研究基金(http://www.seasfoundation.org)(2)より

東南アジア海(中国名は南シナ海)は、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、インドネシア、ベトナムおよび中国の国境が隣接する海域である。この海域は、地域各国の経済、交通、安全保障にとって重要な意味を持っている。更に、世界的にも最も重要な海上航路であり、東南アジア、日本、韓国、台湾などこの海上航路に関連する多くの国々の経済発展に寄与している。
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図1 国連海洋法条約(UNCLOS)による排他的経済水域を表す地図。大陸棚もUNCLOSの原則に基づき割り当てられている。この地図は、中国の主張がUNCLOSに違反することを明らかにしている。この水域にはチュオンサ諸島(長砂諸島。中国名は南沙諸島、英語名はスプラトリー諸島)、ホアンサ諸島(黄砂諸島。中国名は西沙諸島、英語名はパラセル諸島)と中沙諸島のスカボロ礁(黄岩島)の十二海里の海域は含まれておらず、つまりこの三つの諸島に対する主権の紛争が解決するまで領域の確定は保留されているのである。

近年、東南アジア海の領有をめぐる紛争がわれわれの関心を集めている。紛争の当事者の中でも、中国は他の国々にとって最も大きな脅威となっている。その理由として第一に、この海域における中小の島嶼、サンゴ礁に対する主権については様々な意見の相違があるにも関わらず、中国が東南アジア海全域について自国の領有を主張したのである。第二に、中国の軍隊が近年急速に近代化・拡大しており、地域内最大の規模にまで成長してきたのである。第三に、中国は紛争当事国の中で紛争中の島に武力を用いて侵略したことのある唯一国である。

東南アジア海における中国の主張は、あたかも特定の個人が大気中すべての酸素に対する唯一の所有者であるかのようだ。この主張は違法かつ不当であるのみならず、仮にそれが現実となれば、東南アジア諸国は中国によって支配され、有事の際などその他の世界各国も東南アジア海を移動することが中国によって制限されるのである。

したがって、東南アジア海が中国の領土又は湖にならないようにする事は、関係各国にとって大事な問題である。フィリピン、マレーシア、ブルネイ、インドネシア、ベトナム、ASEAN諸国、中国、そして世界のすべての国々は、海洋法に関する国連海洋法条約(UNCLOS)に基づき、国際的な海域において共に権益を持っているのである。フィリピン、マレーシア、ブルネイ、インドネシア、ベトナムなどのASEAN諸国と関係各国は、その権利を守るために中国の不当な野望に対抗する共同行動をとる必要がある。

 我々は、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、インドネシア、ベトナム各国の政府と国民が小異に捕らわれず、大同団結でUNCLOSの原則に基づく東南アジアの海のための解決策を探求していくことを提案する。また、関係各国にもその解決策を積極的に支援するよう呼びかけたい。その解決策についてわれわれは次のように提案したい。

1. 東南アジア海において、領海、排他的経済水域、大陸棚の権益を確定する際に満潮時に海中に没する島・サンゴ礁などを基準にしない。

2. 満潮時にも海中から突き出る紛争対象となっている諸島・サンゴ礁は、十二海里領海の権利を確定するときに検討対象にされるが、十二海里の外側にある排他的経済水域・大陸棚の権利を決める際の対象にはされない。紛争対象となっている諸島・サンゴ礁を最終的に領有する国は、十二海里領海の権利を認められるが、これを利用して十二海里の外側にある排他的経済水域・大陸棚の領有を主張することは出来ない。

3. 東南アジア海において紛争中の対象を除いてUNCLOS第II章に基づく海域、UNCLOS第V章に基づく排他的経済水域、UNCLOS第VI章に基づく大陸棚は中国、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、インドネシアとベトナムそれぞれの所有権に属する。

4. 上記の領有権の分け方に使用される基礎線(base line)は、UNCLOS(第5、6、7条。フィリピンとインドネシアに限り第47条)に従う。

5. 複数の海域が重なる紛争箇所において、紛争は国際法に基づいて公正に解決される。

6. UNCLOSが認めている他の国の権利も保証される。

チュオンサ諸島(スプラトリー諸島)、ホアンサ諸島(パラセル諸島)とスカボロ礁などの紛争対象海域について、各国は排他的経済水域又は大陸棚の権益を求めてはならない。従って、排他的経済水域又は大陸棚の割り当ては、紛争中の海域に左右されない。この割り当ては、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、インドネシア、ベトナムとその他の国の権利と安全を保証する。

フィリピン、マレーシア、ブルネイ、インドネシアとベトナムが互いに協力せず、また国際社会からの支援を受けずに、それぞれの主張だけを追求すれば、東南アジア海は中国の領土になりかねない。この危機を回避するため、各国は国際舞台においては共通の声を出す必要がある。我々は国連海洋法条約(UNCLOS)のもと、互いに協力し合い、国際社会の支援を得てこの地域の問題を公正に解決する努力をしなければならない。

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(1)この記事(英語版)は、2008年11月17日月曜日に The Manila Times (マニラタイムズ)に掲載されました。

(2)東南アジア海研究基金は世界中にいるASEAN諸国出身の人々の寄付により設立された民間組織である。本書簡に述べられた見解は、必ずしもASEAN各国の立場を反映していない。